[84] 瞼が腫れる!? 垂れ下がる!? 原因不明の謎を解け!【解決編】 3

 

【Bさん64才・鉄工所勤務の場合】


しばらく時間をかけて神経学的な検査をした結果、Bさんは右眼の瞼が腫れ上がっているために、

開眼しづらい状態にあるということが明らかになった。

「頭痛、発熱、瞼の腫れ……。やはり、まずX線CTが必要だね。ホームズ君」

「その通りだ。早速始めてみよう」

できあがってきたCT画像には、思いがけない病像が示されていたのだった。

 

「ホームズ君、右の瞼は確かに画像を見ると腫れがひどいね」

「腫れているだけではないな……」

「と、いうと…」
「見てごらん、両方の鼻の中を…」

ワトソン君が鼻の部分に注目すると、そこは灰色の色合いに見える一方、

所々に黒い色調の部分が混在していたのだった。

「鼻の中は普通、空洞状態で空気が詰まっている。

CT画像では空気は黒く表現されるから、

画像上は完全な黒い部分として見えなくてはならないんだ」


「そうすると、この灰色に見えるものは?」


「おそらく、粘液か膿(うみ)だね。それだけではない。

その灰色の部分は、前頭部の頭蓋骨の中から問題の右瞼まで、

広く拡がっているように見える」

「ということは?」


「つまり、鼻の中やその周りの副鼻腔まで、広い範囲に炎症が拡がっているんだ。

副鼻腔の炎症は、わかりやすくいうと蓄膿症。

 

僕の推理では、高度の蓄膿症が鼻の奥や前頭部にあって、

ろうことか右瞼まで炎症が及んで来ているんだと思う。

 

そうなると炎症による発熱、頭痛、そして右眼の瞼の腫れと、

全部が関連を持って説明できるからね」

Bさんの状況を手紙にしたため、O先生へ届けていただいた。

すると、2日後には再びO先生から返事が届いた。


「Bさんが本日受診されました。

K医療センター耳鼻咽喉科に紹介致しました。

ご報告誠にありがとうこざいました」


Bさんの瞼事件も、こうして決着がついたのだった。

眼は、外傷でも炎症の波及でも、放っておくと視力や眼球の動きに支障が起こることがある。

 

最悪の事態に陥らないうちに、早く専門家の診療を受けることをお勧めしたい。

 

 

ますむら医院 院長・増村道雄

 

 

 

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ますむら医院 院長・増村道雄

加東市上滝野613-1

Tel. 0795-48-0704 

 

 

 

PROFILE

93年開業。予防医学、地域医療に力を注ぐ。

著書に「ホームズ君の賢い病院のかかり方」「プライマリ・ケアの現場から」

「ドクター・ホームズの診療所事件簿」。

週刊アエラ「日本の町医者1435人」(2008年7月5日発行)に選ばれる。

中高年向け季刊情報誌「にっち倶楽部」医療エッセイ執筆中。

 

 

 

 

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