[87] 血圧、不眠で悩む高齢者を救い出せ[解決編]3

 

 

【Bさん・76才女性の場合】


Bさんの心理テストの結果は62点。うつ病圏であった。

ホームズ君はBさんに向かって口を開いた。  

 

「Bさん。多分あなたは、元々かなりの心配性のようですね」

 


どんな話が始まるのか、緊張気味の表情だったBさんは、

その一言で少し気持ちが楽になったのか、「ハイ」と笑顔でうなずいた。



「それだけではなさそうです。

Bさんは、大分悲観的に物を考えやすいようですね」

 


娘さんは「どうして解るのですか。その通りなんです」と答えた。

 


Bさん自身もその声に重ねるように

「普段から自分のことよりも、他人の目、

他人の自分への評価ばかり気にかかってしまうんです」と答えた。



そして「去年から手術をきっかけに、いろいろな身体の不調が次々と襲って来て落ち着かないんです。

人の話もゆっくりと聞いていられない有様で、ほとほと困っているんです」と話を続けた。



「Bさん。それほどに切羽詰まった気持ちでいては、

睡眠剤を飲んでいても眠れないでしょうね」

 

ホームズ君の言葉に、Bさん親子は改めて大きくうなずいている。



Bさんへの処方は軽い抗うつ剤。それも眠りに誘う作用も兼ね備えた薬だった。


「Bさん。これからは、ついて来てくれる娘さんに申し訳ないとばかり考えて

自分を責める心が、少しずつ晴れてゆくと思いますよ。

ゆっくりと眠れますからね」と、ホームズ君が治療の効果を説明した。

 


一週間後、再びホームズ事務所を訪ねて来たBさんの表情は、前回とうって変って穏やかだった。


「不思議に心配事が減ったんです。お陰でグッスリ眠れるようになりました。

ホームズ先生が、治りますよと言ってくれたのでね」
満面の笑みを浮べ、Bさん親子は報告してくれたのだった。



「ホームズ君。性格や性質はそれぞれにあるとしても、体調が悪いと、

なぜか考え方が悲観的な方向へ、一方的に傾いていってしまうんだね」


「そうなんだ。そうした時に、自分の性格の特性に気づき、

考え方の歪みを少し矯正すると、随分生活が楽になるということなんだよ」


二人の会話は、今日も夜遅くまで続いていた。

 

 

ますむら医院 院長・増村道雄

 

 

 

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PROFILE

93年開業。予防医学、地域医療に力を注ぐ。

著書に「ホームズ君の賢い病院のかかり方」「プライマリ・ケアの現場から」

「ドクター・ホームズの診療所事件簿」。

週刊アエラ「日本の町医者1435人」(2008年7月5日発行)に選ばれる。

中高年向け季刊情報誌「にっち倶楽部」医療エッセイ執筆中。

 

 

 

 

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