[87] 血圧、不眠で悩む高齢者を救い出せ[解決編]2

 

 

【Aさん・75才男性の場合】


ホームズ君は、硬い表情のAさんにこう切り出した。

「Aさん、あなたは几帳面な性格とお見受けします。

自宅の血圧記録の文字に、そうした傾向が見てとれます。

 

良い性格ではあると思いますが、時に間違いを恐れて

確かめることに力を入れ過ぎることはないですか? 

体調が悪いと余計に確認に手間取って、

生活のリズムが乱れることはないですか?」



するとその質問に、Aさんも奥さんも微笑みながら

「そうです。その通りです」と声を揃えて答えた。



「過度の几帳面さは、実は物事に必要以上にこだわる

心の動きを引き起すことがあります。

こだわりは心の視野を狭くします。

悪くすると柔軟さが失われ、

融通がきかなくなるということになってしまいます」



「と、いうことは? ホームズ君。

夜になると決まって高くなるAさんの高血圧も、

その心の動きと関係があるっていう訳なのかい?」と、

ワトソン君が間に割って入った。


「そうなんだよ。200を越える血圧の値を見れば、

今すぐにでも脳出血が起きるのではないかと考えてしまうのは、普通だろうからね」



「確かに。不安感や恐怖感に毎晩のように襲われていたとしたら、大変だったでしょうね」


ワトソン君がAさんご夫婦に向かってそう尋ねると、二人はそれぞれにうなずき、目を合わせた。

その瞬間、Aさんの身体の強張りが少し緩んだように見えた。



ホームズ君はAさんに、こだわり、確認癖を緩和する薬を服用して頂き、

夜間急に血圧が上がった時には、

速効性の精神安定剤を使ってみることを勧めた。

 


その日を境に、Aさんの血圧は安定を取り戻した。

一週間後の血圧は140/70。

 

夜間の不安感から解放されたAさんは、

表情も和らぎ、付き添って来られる奥さんも

ゆとりある笑顔を取り戻されたのだった。





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