[93]  疲れ果て、涙にくれる女性を救え! 【解決編】

 

~思い切って休職を申し出る勇気を~

 

新年おめでとうございます。

 

昨年一年間もまた、地震、水害、火山噴火と自然災害の多い一年であった。

中でも集中豪雨による水害は、年々ひどくなる一方だ。

防災計画に取り組んでいる友人の話では、20年前の想定最大降水量は、一時間80ミリだった。

当時、雨の多い紀伊半島で記録された最大雨量を参考に作られた基準値だったそうである。

しかし、当時の関西の防災工事担当者で、一時間80ミリの豪雨を実際に見た者はいなかったという。

 

そうした経験から考えると、いわば「断然、余裕を持った想定値」だった。

しかし、ここ数年の雨の降り方は、一時間100ミリを越えることが常態化していて、

今や「谷が抜けるような大規模土砂崩れは、どこで起きても不思議はない」のだそうである。

大雨、集中豪雨対策は、新しい年でも重要な課題になるだろう。

その上、北朝鮮からはいつミサイルが飛んで来るかわからない。

 

不安定で脆(もろ)い足元を気にしながら、私たちは新しい年を迎えているように思う。

そんな年の初めだからこそ健康に気をつけて、新しい希望を胸に、助け合いながら共に一歩を踏み出そう。

 

 

 さて、K総合病院の院長先生は、Aさんの話を聞いて、

まず頭痛、吐気、腹痛、それに食欲の低下といった身体の症状が、

心理的な辛さが原因で起きていると考えた。

その仮定の元に、ホームズ診療所に紹介の手紙を書き受診を勧めたのだった。

 

 翌日の夕方、Aさんはホームズ君とワトソン君を訪ねて来た。

 ホームズ君は、まず丁寧な言葉で綴られた院長先生の紹介状をゆっくりと読み、

事前に記入された心理テストの項目の一つ一つに旦念に目を通した。

 

 「どうされましたか、Aさん」

ホームズ君が声をかけると、Aさんはこの2ヶ月間のことを少しずつ話し始めた。

隣の席のワトソン君も心持ち身を乗り出し、Aさんの一言一言に耳を澄ましている。

 

 話を聞き終えると、ホームズ君は「Aさん、よくわかりました」と一旦話を引き取り、次のように切り出した。

 

Aさん、あなたは非常に責任感の強い、几帳面な性格の方ですね。

心理テストにそういう面が表われています。

しかし、今はその真面目さが、かえって自分を追いつめてしまっているようです。

自分自身に対する評価が低くなっていて、至らなさばかりを考えてしまっていますね」

 

 するとAさんはうなずいて「何故そんなことがわかるのか」という風な、怪訝そうな表情を浮べた。

 

 「実は、長い間思い悩むと、自然に自分がいけないと過度に追いつめてしまうことが多いんです。

休みがとりにくいのはよく解るのですが、ここは休職願いを出して心身共に休まれてはいかがですか」と、

ホームズ君は現状を説明し、今後の治療の提案を行った。

 

 院長先生が見抜いた通り、色々な身体の症状は、実は心の病気が引き起こしていることが多い。

真面目に悩む人ほど様々な症状に苦しむ場合が多いというのも、また事実だ。

 


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