[91]  生気を失った老紳士を救え! 【解決編】

 

~訪問看護を活用しよう~

 

 

夏から秋へ、季節の移り変りは早い。

 

10月初めの今日、北海道からは雪の便りだ。

 

夏真盛りの8月から、毎日の山歩きの間、できるだけ耳を澄まして歩くようにしていた。

 

 

すると蝉の鳴き声も、森全体に響くアブラゼミのミーンミーンから、ツクツクボウシに変わり、

 

さらにヒグラシのカナカナカナにとって変わった。

 

森の喧騒が静かになる頃、草むらから虫の声が聞えるようになる。

 

そうなると、もう夏から秋へのバトンタッチが完了だ。

 

 

ホームズ君の秋は、11月23日の六甲全山縦走大会を目指し、筋力強化、持久力増強の重点期間に入る。

 

体重は2kg減らして、そのレベルを維持する。

 

山歩きは1時間から1時間半に増やし、尾根の平地ではジョギングを取り入れる。

 

6時起床は5時起床にして、戦闘モードにギアを入れ替える。

 

何しろ縦走大会当日は、3時半起床、5時半スタートなのだ。

 

 

毎年感じる肉体の衰えに、トレーニング内容を年々強化して坑(あらが)わなければならない。

 

56kmにもおよぶ険しい登山道完走の目標に向け、毎日のスケジュールをこなし続ける秋である。

 

 

 

さて、Aさんの話を続けることとしよう。

 

もう数年も前の事件でもあり、細かいディテールは記憶がおぼろげになっていた。

 

しかし事件簿を詳細に読み返すうち、訪問看護ステーションの宮崎さんの行き届いた心配りが、ありありと思い出されてきた。

 

 

最初の往診当日、Aさんの様子は、声も弱々しくかすれ気味で表情も硬く、どこか不安気な感じだった。

 

食事も摂れず、立ち上がって歩く気力もないという状態だったのである。

 

胸の聴診では、呼吸音も心臓の鼓動も問題はなかった。

 

手術の傷跡が痛々しいお腹に触ってみると、食事を摂れていないためにペッチャンコで、肌は乾燥し切っていた。

 

やはり、想像を越える脱水が伺えた。無理もない。すでに1ヶ月以上も満足に食事を摂れていないのだから……。

 

 

 


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